2009年11月11日 tosi hp 5
45ppmホルマリンで、錦鯉や金魚のウィルス病を治す消毒方法
By 西 村 利 冶
”ロウソク病、 浮腫症、 ねむり病、 新水病 ”、 これらの病気は、”ウイルス病 ”とやっと国に認定されたようですが、 45ppmホルマリンで泥池、 コンクリート池( 濾過槽も )で 治療 と 消毒 ができます。 これは消毒薬による殺菌ですので、 この効果を新しいウイルス病の鯉ヘルペス病に試してみてください。
「 浮腫症 や ロウソク病 にホルマリンは効果がなかった。そんな濃いホルマリンを泥池に撒くと池がだめになる。嘘をつくな!」と御怒りの声が多数あがっていることと思いますが、 「 泥池に 45ppm のホルマリン散布をしたことがありますか、 そして、 濃いホルマリンを撒いた泥池の結果を長時間観察したことがありますか、 夜中 にホルマリンを散布したことがありますか。」と私は反対にお尋ねしたい。 青仔を毎年 200万尾ほど生産している養魚場の魚病管理を5~6年間経験しましたが、 その折、 泥池に0.5~0.6%塩水浴も多数回利用しましたが、 どちらも結果はかわりませんが、 45ppmホルマリンが一番簡単で、 そして手間の掛からない方法でした。
.浮腫症、 ロウソク病などの病気は、 ここ数年、 社会問題のようになっている鯉ヘルペス病がウイルス病であったために、 30年ほども前に広島県で大量被害があってから全国各地で被害がつづいているロウソク病を、 嗜好品の病気とでも云うような扱いで、 30年もほったらかしにしていた魚病を、 鯉ヘルペス病のウイルス調査の副産物のように、 ロウソク病や浮腫症もウイルスによるものと調査、 発表されたとしか思えません。 ウィルス病に認定するのに、 なんで30年もかかったのかと云いたいですが。 生産者が経験から思考錯誤をくりかえしながら、 錦鯉の生産維持をつづけてきましたが、 これらの病気は、 当初、 塩水浴で簡単に治療できたものが、 今日では、 塩水浴だけでは完治できない悪性進化しているのが現実です。 そして、 鯉ヘルペス病と新しいウイルス病が生産者の生産を圧迫しており、 また、 生産魚を展示池で蓄養、管理することもむずかしい時代となりました。
抗生物質に頼って生産魚を管理することは。 養魚場全体の魚、 つまり、 泥池の青仔、明け二才などから販売用生簀の大型魚など、 すべての魚を抗生物質で管理することは、 時間と多くの経費と労力が必要ですが、 それ以上に高度な管理技術が必要で、 神経を擦り減らす毎日になってしまいますが、 効果的にウイルスの治療も出来ず。 ウイルスの撲滅はもっと無理なことで。 結局は、 ウイルスは抗生物質に耐性を獲得することでしょう。 0.5%の塩水で常時飼育している養魚場もあるときいています。 消毒薬のホルマリンをうまく利用すると管理が非常に簡単になり、 何よりもウイルスが 悪性進化 しないと私は考えています。 悪性進化がなければ、 ロウソク病も浮腫症も塩水浴で簡単に治療できる魚病だったのですが、 抗生物質による魚病の治療のために、 ウイルスに新しい能力を与えたのでしょう。
.ここで 消毒 という事をもう一度考えてみてください。 生産業者、 流通業者、 愛好家の皆さんに、 いろんな考えや、 主義主張があると思いますが、 全国で統一した消毒方法と利用方法を定めれば、 そして、 公的な品評会もその消毒のうえで行なえれば、 品評会も安全になり、 流通の促進になると思いますが。 如何なものでしょうか。
* .ホルマリン使用方法
その使用方法は、 青仔の泥池でも、循環濾過槽の付いた展示池(濾過槽の水量も加算する。)、45 ppm前後 / 1 ton( 水量 )の濃度、 つまり、 水量 1 トンにホルマリンを 45cc前後散布し、 注水は完全に止めて、 十分な爆気をおこなって、 72時間( 丸三日 )以上の長時間薬浴をおこないます。
* 薬浴濃度 45 cc 前後 ( ホルマリン ) / 1 ton ( 水量 )
* 薬浴時間 72 時間以上
* 注水 72 時間以上 完全に止めて置く。
* 爆気 72 時間以上 十分以上にエアレーションを続ける。
ホルマリン濃度が 45 ppm前後といい加減な書き方なのは、 40ppmで十分な効果がありますが、 40ppm以下では発病状況や水質などの条件に影響うける可能性があり、 散布濃度は生産者が養魚池の水量が正確に把握していない場合、 40ppmより薄くならないように、そして、 50ppmより濃くならない程度と思ってください。 50ppmでも鯉( 青仔も )は大丈夫です。
養魚池の水量が正確に把握されているなら、 水質が透明なら40ppmで、 不透明なら45ppmで散布してください。 散布濃度は 35ppm以下 にならないように注意してください。 35ppm以下の散布の場合、 早期発見、早期処置でうまく助かったと思っていた魚群全体が背こけ症状をおこし、 ゆっくりと全滅します。 濃い濃度ではやく消毒できないと、 脳髄がウイルスにやられてしまうようです。
ホルマリンの使用は 食用魚生産では発ガン性がある為、 全面的に使用が禁止されています。 我々、 錦鯉業者も 養魚場外 の生体環境を配慮した利用方法が求められています。
*散布の準備( 全池 )
(1) 注水
散布後、 注水は絶対止めねばならない為、 完全にとめれるように準備してください。 止まらない場合は、 配管によって注水を池外に導いてください。
(2) 爆気
72時間以上十分に爆気( エアーレーション )が必要です。 同時期に何面も爆気をおこなえる余裕のある準備が必要です。
(3) ホルマリン
1 年間の使用量を考えて準備してください。 刺激臭のないホルマリンは治療に使用しないでください。 古いホルマリンは展示池の定期消毒に使ってください。 ホルマリンは年間をとうして涼しい場所で保管してください。 散布時に手間取ったり、 計量のミスを起こさない為に、 各池に専用のような計量カップやバケツを用意してください。 ミスをなくし、 散布の手間を省きます。
(4) 水量の調節
展示池はもとより、 泥池もホルマリンを散布する池すべて排水パイプで水量を確実に調節してください。 そして、 散布準備として、 全池のホルマリン散布量を事前に表にしていれば、 散布ミスや結果の判断に役立ちます。 稚魚池(面積100坪で)の場合、 春 は150トン、 夏 は200トン、 秋 は250トンというように水位を調節していれば、 夜間のホルマリン散布も非常に楽になります。
(5) 水漏れ
水漏れの為に、 注水を72時間も止めることが出来ない。 こんな事を時折耳にしますが、 冗談はやめてくれ。と云いたい。 ウイルス病の消毒、治療を話題にする前に、 養魚場全体が雑菌の巣になっており、 養魚が、 何の病気で死んでいるのか、 わからない状態だと思います。 そして、 抗生物質と塩水浴をだらだらと続けているのではありませんか。 鯉の体表や鰓や鰭に繁殖する寄生虫などを定期消毒でコントロール出来て、 弱った魚がいない状態でないと、 ウイルス病の発見や判断が遅くなります。 遅い発見ではウイルス病の治療はできません。
(6) 濾過槽の洗浄
濾過槽は蓄養魚が多量の場合、 定期消毒の一週間ほど前に軽く洗浄するように心掛けてください。 濾過槽が濾過能力をこえている場合、 濾過槽内は生物濾過のバクテリアが満杯になっており、 循環している池水にも、 バクテリアやいろんな有機物が多数循環するようになっています。 こんな状態では、 散布したホルマリンが、 ウィルス殺菌以外に大量のバクテリアに消費され、 また、 水質の悪化に拍車をかけてしまいます。 あまり水質が悪化したり、 ホルマリンの消費が激しいと重症魚の回復が難しくなります。 濾過槽も定期消毒でホルマリンを使用しているとホルマリンに適応した生物濾過に変化するようです。
(7) 鳥獣害の防止
鳥獣害がないように、 フェンスや防鳥ネットなどを使ってコントロールしてください。 鯉の被害を減らすのはもちろんのこと、 弱った病魚が食害されることで、 ウイルス病の病魚の発見が遅れたり、 鳥獣による魚病の伝播で前触れなく、 養魚場全体がウイルス病の蔓延状態になったりすることで、 ウイルス病に対する判断の誤りの危険があります。
(8) 定期消毒
ウイルス病の発見の邪魔になる紛らわしい病魚がいないように定期消毒を行なってください。 3月の暖雨の直後、 梅雨の直前、 秋雨の直前、 冬前の年に4回行なえば、 弱った魚は滅多に現れないでしょう。 展示池は、 ホルマリン40PPM + マゾテン0.6PPM強。 注水を止め、 爆気をおこなって、 72時間以上の薬浴。 泥池は、 マゾテン0.6PPM強を4回 ( 寄生虫と動物性プランクトンの駆除でグリーンの維持を図る。)と越冬前と越冬明けの2回はマラカイト0.2PPMを混ぜて薬浴( 水生菌の駆除 )をしてください。 注水を止め、 爆気して、72時間の薬浴です。
(9) 防疫
外部からの鯉の持ち込み時も、 ホルマリン40PPM + マゾテン0.6PPM強で消毒してください。 そして、 外部の水に触れた日は、 自分の池には近ずかない事です。 防疫を心掛けてください、 どこかでウイルスの悪性進化が進んでいるかもしれません。 そして、 いつ何時、 あなたはそのウイルスと遭遇するかもしれません。 他の養魚場に行かれたときは、 鯉の質や型付よりも、 その養魚場全体の魚病の有無に観察の重点をおいて歩いてください。 長居したくない養魚場があるはずです。
(10) 夜の見回り
病魚は夜間( 10時前後 )水面にいます。 健康な魚の姿は全く見えません。 病魚は壁際におおく、 四角い池では四隅や池壁の曲折部におおく、 重症魚は特に頭部を隅にくっつけています。 または、 鰓がやられているので注水の落下点にいます。 病魚を一尾でも見つければ、 躊躇せずにすぐさま ホルマリンを散布してください。 時間の猶予はありません。 朝にもう一度確認してからと思い勝ちですが、 朝には病魚は水底に邪魔されない場所に隠れて水面にはいません。 水面には元気な魚がいっぱいです。 これで安心して、 嫌なホルマリン散布を中止して、 楽しい餌やりに変更になるでしょう。 しかし、 その晩の見回りで水面や四隅に数十倍~数百倍以上の病魚をみることになります。 この晩にみえる病魚はホルマリン散布をしてもアブナイ病魚です。
(11) 餌やり前後の見回り
.夜の見回りの必要性を書きましたが、 夜の見回りの困難な野池や年齢的に危険な場合もありますので、 餌やり前に健康魚と離れている魚はいないか、 動かない群はないか、 健康魚の中に泳ぎ方のおかしい魚はいないか、 十分に時間をかけて観察してください。 餌やり後も、 病魚は鰓が悪くて呼吸困難な状態で、 摂餌後は、 餌の消化に酸素が多量に必要なため、 元気に泳いで、 摂餌していた魚群が急に弱ったようになります。 給餌後のホルマリン散布は病魚にとって二重の負担です。 また、 明るい時間帯に病魚がみえる場合、 それらの病魚はホルマリンでは助けられないと考えてください。 その病魚の割合にもよりますが、 処置もいろんな方法を考えてください。 すぐにホルマリン散布を行なうか、 網をひいて、 塩水浴( 0.6%強~0.8%弱、 0.9%以上で鯉は脱水症状をおこし死にます。)で治療を行なうか、 ホルマリン散布では助けられない重症魚だけを塩水浴させるか、 塩水浴で病魚が見えなくなってから、 水換え後に45ppmホルマリン消毒を行なう。( 注意:ホルマリンと塩水を混合してはいけません。 数時間で魚体がむくみます。 軽く済んでも、 全鰭が溶けてなくなります。 長時間の結果は見たことありません。)
* 散布後の注意
病魚の増加と悪化。
特に当歳魚の場合: 散布後、 病魚の尾数が急激に増え、 症状も悪化したように見えます。 たいていの生産者がホルマリンが強すぎた。 と思われるかもしれませんが。 くれぐれも注水の再開や水換えなど考えないでください。 これは、 45ppm前後のホルマリン散布の特徴です。 ホルマリンが鰓の機能の低下した病魚に強く影響して、 散布前には健康に見えた軽症魚を弱らせたのです。 同様に、 真昼間に人間の前で水面を直線的に泳いでいる最重症魚は、 45ppmのホルマリン散布で耐えることが出来ず死にます。 散布前に見られた病魚は重症魚だけで、 脳神経をやられて、意識蒙狼として動いているだけです。 そのため、 重症魚がふえると池の隅で押し合いへし合い、 団子状態になってしまうのです。 この重症魚が数匹しか見えない状態でも水中には、 その何十倍、何百倍の病魚がいます。 重症魚を一匹発見した時点で、 その池中の魚はウイルスに大なり小なり感染しています。 そんな状態の魚群にホルマリンを散布すると弱っている魚が見えるようになり、 発病魚が急に増加します。 このときに、 発病魚が半数以下なら 7~8 割の青仔が助かります。 発病魚が 1 割以下ならほとんど死魚はでません。 反対に全体に発病しているなら半数も残らないでしょう。( こんな場合も、 0.6強~0.8%弱塩水浴後、 水を換て、 45ppmホルマリン浴を薦めます。) 出来るだけ早期に発見してください。 その為には、 病魚を早期に見つけやすい、 夜間( 10時 )の見回りを毎晩行なってください。
水質の悪化と回復。
特に 泥池 の場合:散布後、 動植物プランクトン、 バクテリア、 藻類などの死亡による水質の白濁が起こります。 ( 濾過槽付きの展示池でも、 薄茶色の濁りと水面に多くの泡がでます。 4~5日で散布前より綺麗になりますが。) そして、 病魚の鰓はウイルスにやられて、 病魚が鰓の開閉を頻繁におこなうため、 水質の悪化で病魚が死んでしまいそうに見えますが、 池水の交換や注水を行なうと、 病魚に見えない魚まで発病し、 全滅をおこします。 人間のハシカ( 麻疹 )と同じで、 72 時間、 爆気をおこなって見守ってください。 ホルマリン散布後、 72 時間以上経過しても爆気はつづけてください。 そうすれば、 4~5 日目に日当たりが良ければ、 薄い白濁りが綺麗なグリーンになります。 この植物プランクトンの復活がホルマリンが分解された目安になると思います。 そして、 このときには、 病魚も回復しているでしょう。
ロウソク病と浮腫症の経験。
ロウソク病と言われるように、 20mm位の稚魚では、 病魚の頭部が赤く充血しているように見えます。 この頭部の異常のために、 ホルマリン散布が遅かったり、 散布濃度が薄かったりすると、 助けたと思っていた養魚池の稚魚が、 成長もせず、 ゆっくりと痩せてゆき、 全滅状態と変わらない結果になってしまいます。 展示池の 2 歳魚なども、 ねむり病のホルマリン消毒の遅れた場合、 背こけ病のようになりゆっくりと死亡します。 また、 10cm位の浮腫症の当歳魚は魚体全体が腫れて葉巻のような体型になりますが、 重症魚では、 脳神経がやられているようで、 水面を直線的に泳いでいだけで、 池壁の隅にかたまってしまいます。 ロウソク病、 浮腫症、 ねむり病 のどれもが、 ウイルスによって脳髄がやられます。 病魚は魚齢的には、 当歳魚は水面に、 多年魚は水底にかたまるようです。
.晩秋からの低温期の浮腫症の発病は、 45ppmホルマリン散布を行なっても、 低水温では散布効果が遅いのか、 池隅にかたまる病魚の回復が遅い場合、 治療直後の病死魚がないような、 ホルマリン散布がうまくいった結果の池で、 その池の魚が、 年を越した春先に、 スレの部分が水生菌におかされて、 2~3割りの死魚があり、 毛玉のような死魚も目立ちました。 泥池の定期消毒で、 冬前と春先に水生菌対策のため、 マラカイト・グリーン0.2ppmを散布していましたが、 晩秋の浮腫症のスレ対策には効果がなかったようです。 20年も前のことを、 今、 振り返ってみると、 晩秋の浮腫症対策には、 50ppm強のホルマリン散布と24時間後に過マンガン酸カリ 3.0 ppmの追い散布を試すべきであったと思います。
どなたか試してもらえませんか。 そして、 結果を教えてください。 宜しく御願い致します。
ウイルスの感染から最初の病魚が発見されるまでに3日間ほどだろうと思います。 そして、 池内の全魚が発病し終わるのに48時間はないと思って作業していました。 一尾の病魚が発見されれば、 ウイルスは池中に十分感染しているようです。 また、 面白いことに、 ウイルス病から回復した魚群は、 一般の寄生虫病に強いようです。 そして、 ロウソク病は一度罹ると二度と罹らないようにみえます、 人間のウイルス病のハシカ( 麻疹 )のような免疫現象があるようです。 すべての当歳魚にこの免疫現象を利用している生産者もいます。 うまく利用すれば、 見回りの期間の短縮にもつながるとおもいます。
「 錦鯉 と云う、 世界に誇れるすばらしい伝統文化 を、 みんなで守り、
心躍る水子、 驚嘆の稚魚、 感激の成魚を世に送りだしましょう。」
西 村 利 治 平成18年 9 月 吉日
人間のウィルス病や内因性の病気(生活習慣病、成人病、老人病)の治療には真珠層服用治療(民間療法)を利用してください。 http://awabikata.blogspot.com/
45ppmホルマリンで錦鯉、金魚のウィルス病を治療する方法。
高濃度のホルマリンで初期感染のウィルスをを撃退する方法。夜間の見回りでウィルス病を見つけ、45ppm濃度のホルマリン、72時間の薬浴でウィルス病を治療する方法。 ウィルス病も夜間の見回りで早期発見が可能です。